真綿のお布団


先日、友達の家で飲んでいて喧嘩になった。
喧嘩というかなんというか、一方的議論ふっかけが行われた。


喧嘩の相手Yは酒癖が悪い。
いつもの事がまた始まったなぁ〜などと思いつつ「まるでおっさんのように話がループしていくさま」を今回は通り越し、ぎゃあぎゃあといつまでたっても話を辞めない事態に突入。
昔からなぜかあたしにいろいろと水面下で嫉妬やら羨望やらないまぜになった感情をYはじわりじわりと染み込ませてくる人なのだが、基本的に「わたしが持っていないものをあなたは持っている」といったような、勘違いな感情なので普段の付き合いに支障はなかったのだが。
結婚した事がないYは離婚暦のあるあたしに「1回したことのある人間としたことのない自分はどうのこうの」とか、できた、できない、とかそんなどうでもいいことに拘泥している様はあたしには良くわからない。
そして、先日からお見合いをはじめ婚活ガンガンでっせーという生活に突入し、お見合い二回目の相手とさてどうしますか結婚しますか?という局面にきているYが、なぜここへきてまたあたしへの攻撃を始めたのかがさっぱりわからん。


だって、今から結婚しましょうか?なんて考えている人は自分の幸せに酔っていればいいのに、である。
そして酔えないのであればそれははなっからまがいものであるし、単に結婚というイベント自体が目標に成り下がっている。
結婚などというものは恋愛の上に「きゃぁ大好き(はぁと」とかが男女のどちらかにあったり、お互いのなにか人生的目標が似通っていてそれを一緒に目指して生きましょうといったようなものがないのであれば、一体何のために行う所業であるか。
動機はなんなんだ、っちゅー話だ。


その日のメンバーは結婚暦ナシのYと離婚暦ありのあたしと、同じく離婚暦ありのE。
あたしもEも1回した事あるので、結婚については「次、するならするし、しないならしないっしょー」といったほんわか思考であるので、結婚ガオーーーーとかなってるYが少々痛かったりする。


根はいい奴なのになぁ…。


そんなこんなで終電を逃してしまい、Eの家に泊めてもらった。
さてここからが本題である。


Eの家でお布団をしいてもらい寝たのだが、これがもう、なんという極楽。
あたしはじめて寝たわけですよ真綿のお布団に。
だって高級品でしょ?
Eのお布団がなぜそのような最高峰のお布団なのかというと、嫁入りの際に母方ご実家がお布団製造業で、との事で作ってくれたものらしい。
嫁行ったけどすぐ別れちゃってえへへ〜最高のお布団は残ったけどね、みたいな話なのである。


もう筆舌に尽くしがたい極楽加減なのである。
お布団に入って数分経つと、自分の体温がいままで寝た事のあるどのようなお布団からも感じられなかったような伝導のしかたで熱を帯びてくる。
普段寝ている羽毛布団だと全体に空気がほわわわと暖かくなる感覚なのだが、真綿のお布団は自分に寄り添うまわりの布団がえらくポカポカとし、イメージでいうと身体の皮膚にそって数十センチくらいの熱の防御膜が出来るような、そのような暖かさなのだ。


えらいもんに寝てしまったような気持ちになった。
このような極楽がこの世にあるのか、と知り、欲しくなってしまった。。。。。
そうかといってほい、と買える様な値段でないのもわかるし、なんせ今回寝かせてもらったのは布団製造業者が家族にいてその嫁入りに持たせたという一品なのでどないころんでも最高級品であろうと思われるお品だ。


真綿の布団を手に入れるために結婚したくなったりして。本末転倒。
シルクはもちろん好きだし、お洋服も持っているが、真綿のお布団のグレイトさに触れた今、蚕リスペクトの気持ちがえらいことに。
蚕さいこう。蚕ブラボー。
こんなにグレイトなお布団がこの世にあるのを知り、前日喧嘩した事などどうでもよくなり、なんか凄く得した気分で翌日帰宅。