降りていくほどに


新しい社長が以前の社長と180度やり方が違うと、社員はとてつもなく戸惑う。
新社長はまるで強迫神経症のようだ。
就任してから、ない「癌」を探し回りドクターショッピングを続ける妄想に取り付かれた患者のような振る舞いを行っている。


ないものをいくらさがしても出てこないのに、ご本人は気がすまない訳で。
それら「ないものさがし」に必要な資料作成が増えるけど、あたしは別に何とも思わない。
ないものにとりつかれるって、大変だろうな、気が休まるのかしら?
ま、せめて、"これくふて茶のめ○"、的に、茶にでも、良き気を投入して飲ませとくか、と前の社長より丁寧にお茶を日々入れて差し上げるだけだ。


淡々と。


社長から降りていくそれらのストレスが社員に影響を及ぼす。
最近、社員の顔色が芳しくない。
険しい顔をして八つ当たりを始める人、持病が悪化して休み始める人、実行するかどうかはわからないけどなにやら暗黒的復讐を企み始める人(システム関係、こわひ)、となんだかとても皆さん大変そうだ。
もちろん暗黒的復讐を私に語り来る人は、それを話す事で保っている、という側面を持つのでいくらでも言えばよい。
「それは悪い、ですねーーーーシステムダウンするじゃないですか、で、仕掛けてあなたは辞めると。うーんそれは困ります、っていうかそんな事されたら、あたしの仕事に差し障るじゃないですか、そこだけはちゃんとしといて下さいよ、やるならあたしのデータだけでも流用できるようバックアップ取るんで実行日教えて下さいよ。あたしめんどくさいのは嫌なんで」と、お願いしておく。
本当にやる人は、人に語らない。


そして、社員はバイトにまたそのストレスを降ろしていく。
昨日、定期的にくるバイトの子が「もうさすがになんだか今日という今日は○○にむかついた。なんなんだあの態度は!」とあたしに愚痴をこぼしに来た。


「ふんふん、そうか〜、そりゃぁ大変だったね。ま、気分を変えてね。あたし踊ってあげようか?」とか、馬鹿なことを言いながらちょっと踊ってみたりする。
「プ。おまえ、ほんまあほやろ!!!」と笑顔になっていただいて、なんとか気持ちを治めてご帰宅いただいた。


で、隣の人が語りだす。
「・・・・みんな、思ってる事って、同じなんだね。あの人最近態度酷すぎるとあたしもちょっと、思ってたのよ。」と。


道化として振舞うのは少しでも気分よくなってもらいたいから。
会社の人は私の仕事を知らない。だから、あほんなって、笑かして、ちょっとゆるんでもらう。
あたしに言ってきた人にはね。


険しい顔を続けている人は何故かわたしのところには来ない。
自分に余裕がないと笑かされている、と思わず、馬鹿にされてるのか?と投影するからだ。


社長は変らない。オーナーには逆らえないから、みんな下に降ろしていく。
そしてその場で私達は働いている。だったら、どうするのか?


新しく入った派遣の子、やめないでくれたらいいな。


みんな、早く今回のゲームに気づけばいいのに。
今度、それぞれに廻ってきた持ち札で、どうすれば、楽しんでゲームできるのかを。


あたしの今回のゲームは 道化、と一球入魂茶。 茶の達人になる。ふはははは。