電話


電話がかかってきた。


目を見るという事
空気


この2本に書いた友人から直接。


あたしの悪口を言っているのを他人の口から聞いたのは今年の8月だった。
その後、眼を見てくれるようになり、普通に話してくれるようになった。

その彼から直接の電話。
彼は次の段階に進もうとしている。
離婚が調停に入りそうだ、という事の報告と、東京転勤が決まりそうだという事と、あたしの事を悪く言ったことを謝るものだった。


「あたしに思うところがずっとあった。しかしこの詳しい流れを知ってるので、やっと自分がこうしたいと思う事が出てきたから、自分が思ったことも話そうと思って」と。


あたしは彼に言った。
「他人の口から人づてで聞く自分の悪口というものは、あたしは保留にしとくんだよ」
「だって人それぞれの立場で絶対その人の視点フィルターをかけるんだから。」
「それを聞いた時点では途中経過なんだから、次にどうなるかわからないもの。」
「本人の口から聞いてから初めてそれを知ることが出来ると思っている。」
と。


あたしを悪く思ったことを謝ろうとわざわざ電話して来てくれた彼に
「謝る必要なんかないよ。電話してくれただけで嬉しいよ。ありがとう。電話してくれて。」と言った。


本人の口から聞くまで、物事は保留にしとく。
もし何も話してくれなくてそのまま友人関係が消えるのならそれは、それまで、だ。


こういう考えになったのは、自分が離婚を経験しているから。
周りの人はそれぞれの立場でそれぞれのフィルターを通した発言をするんだ。
それを経験したんだ。
離婚した時、あたしは、当時の友達全部を失った。
共通の友人というものは、それぞれ「どちらかがいい、悪い」を判断して、自分がいい、と思ったほうにつくもんだ。
噂は尾ひれをつけ、人づてで話はふくらみ、物語は勝手に作り上げられていく。
真実は本人達しか知らないし、知りたければ直接聞けばいいのに、出来上がった物語で人は勝手に判断するんだ。
あたしは、離婚当時、夫婦共通の友達全てに「あたしが悪い」と判断された。
みんないなくなった。


人づてにいろんなあたしの話を聞いた。
それでいい、と思った。
でも、自分は絶対に一時的な視点で判断しないようにしよう、本人の口から聞くもの以外は保留にしよう、と、その時に決めたんだ。


「転勤の時の送別会パーティー、しなきゃね〜!」って、笑って電話を切った。


彼は新しい道を進み始める。
それが嬉しかった。


お祈りは通じるね。
今日も祈っとく。
あたしに今できるのはそれだけしかないから。


「あなたが元気になりますように」