ねずみくん


数日前から会社事務所にねずみくんがいる。
朝職場につくと、冷蔵庫の裏とかから埃をモフモフと取り出していたり、ティッシュを食い散らかしていたり、休憩場に置いてあるブルックスのコーヒーの袋を散乱させて食い散らかしていたり。


あぁ、また入り込んでしまったのだね。と。
数年に一度の割合でねずみくんが入り込む。
それは繁華街のど真ん中にある職場なのでいたしかたないことである。
そして、繁華街のねずみくんというもの、それはもう、とんでもなくハイブリッド種になっているのだ。
数年前に出た時に、いわゆる殺鼠剤を薬局で購入してきてとりあえず置く、という措置を同僚が取った。
そうしたら、その殺鼠剤を2パックも全て綺麗に食べつくして、それでもなおいる形跡が毎朝続くのである。
そして、毎朝、ねずみくんの饗宴の後始末掃除が続く。
ありとあらゆる、飲食店などの防御システムやら殺鼠システムを逃げおおせてきた、ツワモノなのだ。
しかし死なないそのハイブリッドねずみくんは気づいたらどこかに行っている。
どこから入り込みそして何処から出て行くのか?謎のまま、もちろん死んだ形跡など一度も見た事がないのだ。


とりあえず、出たらする事は殺鼠剤を薬局で買ってきて置く、というのしかしたことがない。
今回同僚が買ってきた新しい殺鼠剤のパッケージにこう書いてあった。


「今までのナントカカントカ成分で効かなかったスーパーラットに対応の新しい薬剤!」


見目麗しいくらい真紫のその錠剤のようなものを見つめ、あぁあのねずみくんたちのことはスーパーラットって、いうんだ…。
なんかほんとに凄いスーパーな進化を遂げているのだよなねずみくんって、と思ったり。


生き物は進化する。
殺すもの食べても死なないほど進化してる、スーパーになってるって、なんだかそれはとんでもなく凄い事なんだよなぁ、と、変な所で感心してしまう。