春の香り


昼休み。
書店でぶらぶらとする。
毎年恒例の春の香りが漂ってくる。


あ、そうか、始まったんだな。


会社帰り。
春の香りを撒き散らすお方々が駅にも電車車中にも、数人いらっしゃる。
カランカランと下駄の音。


その人たちはお相撲さん。


春場所が始まると府立体育会館のある難波にはお相撲さんがあちらこちらに歩いてる。


ふわわん、ふわわん、となんとも甘い鬢付け油の香りを漂わせながら。
書店で棚に阻まれて姿が見えないでも、後ろっから歩いてきても、あ、お相撲さんだ、春だ、春が来た、と思う。