わざと煽る
友人のお誘いというかお願い、で入った企業は夜叉と般若の棲家であった。
日々夜叉vs般若の戦いにより、傷つき恐れなして、戦線離脱者多数。
たまに友人と仕事の流れで休み時間が合った時、昼休み食事に出かける。
もちろんいやみたっぷりな言葉に見送られながらである。
今日のいやみワードは「あらぁぁ、デートですぅ〜?(ニヤリ)」
友人「そうだよ、デートだよ」
あははは。
何故に煽るのだ我友人よ。
あたしはそれでまた、影で悪口を言われまくりそれをまた誰かから聞く羽目になりまするのに。
おもしろがってる友人に乗っかっといてあたしもおもしろがる。
こういうのはおもしろがるほうが楽しい。
それをあたしが知ってるから友人はあたしを呼んだのだ。
南麻布から一望できるヒルズの上に飛行船が飛ぶ。
「わぁお!飛行船だよ」
夜叉様はあたしに言い捨てる。
「何子供みたいなものの見方してるの?おかしな人ね」と。
どのような眼差し、どのような眼鏡をかけたら、人はこうなってしまうのだろうか?
お局なんてかわいいわ。
と、鬼の棲家で一人微笑む。
とはいえ、邪気と毒気にやられ週半ば、ハンガーノック状態のような、「ぼわーーん」みたいなエネルギー切れ。
自分でケアルガ。
あたしを「辞めさせてやる」とすでに各方面に通達を出している模様の夜叉様。
おおこわ。
ほんとにこんな科白を使う人が世の中にいるのか〜などと、変に感心。
仕事中、用事で外出してると、南麻布という土地柄、高級車がいたるところに駐車されている。
真っ黒でピカピカのベンツに猫の足跡、梅の花。
終りかけの色彩が抜け落ちた紫陽花。
工事の壁の間から刺す日光の光で偶然に描かれたワトソンクリック二重螺旋模様。無限大模様。
くちなしの花の香りと道端に咲いた蓮華とか雑草の白い花。
今日も世界は綺麗だ。
帰りの電車の中、座る事ができたので夜叉と般若の幸せを祈る。
ばかみたいだけど、あたしにはそれくらいしかすることがないから、やっとく。