盗みと仕事と洗脳と


ただ洗脳プロがTOPだったから辞めるなどと突然決めたのではなく。
実際に話を聞いてあぁ、ほんとうにこういう人はこういう手法なんだ、というのが見てみたかったんだ。
実はブラックだと最初からちょっと友達に聞いていた。
でも、あたしのポジションはそんな変な進行にも巻き込まれないし、適当にいればいいんじゃない?と言われたし、
女性がいじめられまくって辞めるという人がいる中で、どれほど、自分が巻き込まれないのだろうか?といったちょっとした自分へのテスト心というのもあった。


しかし決定的事項は全く違う。


会社でお金を盗まれた。
小額紙幣を財布から抜き取られたのだ。
小額紙幣を抜く行為というのは常習犯のすることだ。
人間は高額紙幣がなくなったら必ず気づくが、小額紙幣は気がつかない人も多い。


「あれ?なんか使っちゃったっけ?」と自分が勘違いしていると思うのだ。


引越ししてきたばかりで、まだ日常使うモノと、新しく引越ししたためにかかる関係費用を分けておきたいために、コチラに来てからノートをつけていた。毎日チェックしていたから、財布の現金有り高とノートはいつも一致している、そういう状態だったので、すぐに気がついた。


しかも、状況証拠で「あ、この人がやったんだ」というのもすぐにわかった。
あたし、女性、男性、と3人で昼食を昼休み、ミーティングルームで取っていた。
食事を終えてお弁当のゴミをバックヤードに捨てに行ったあたし。
トイレに立った女性。
部屋に残ったのは男性一人だった。
ゴミを捨てに行くだけなので、鞄をミーティングルームに置きっぱなしにした。
安心しきっていた。
ゴミを捨てて帰ってきたら男性は何故か私の鞄の前で立ってタバコをすっていた。私の鞄の横には灰皿があったが、立ち位置が微妙におかしい。
何故か違和感をすぐに感じて、自分の鞄を取り、すぐにお財布の中身を確認した。
そしたら、やられていた。


嫌がらせでもイジメでもなく、夜叉様の攻撃関係などとは全く関係のない、一番朴訥としたのんびりしたタイプの人だった。
単なるその人の手癖だろう。
その人はいつも自腹でみんなにお菓子を買ってきて配ってる人だ。
やさしいねぇ〜とみんな思っている。
抜かれた金曜日の翌日の休日出勤、彼に桃をごちそうになった。
「おいしそうだったから買ってきたからみんなで」と。
休日出勤中の4人にそれぞれのデスクに、桃を剥いた状態でご丁寧にフォークを添えてデスクまで持ってきてくれた。
「あらいつもありがとうございます」
笑顔であたしは微笑みその桃を食べながら、あたしのお金が桃3切れに変身して帰ってきた、あっははは、と一人心の中で笑って食べた。


小額だから、そんな事で仕事を辞めるなんて馬鹿げていると思うかもしれない。
でも、あたしはお金を扱うポジションにいるので、そのような方がおられる会社にいることは出来ない。というのを理由にして、この辺でお開きにしようと思ったのだ。お開きにしとけ、ってサインだと受け取ったのだ。
同じ職種である経理職の前職の先輩と、会計事務所に勤める税理士間近の友達に、電話して、聞いてみた。
「そういう人がいるところで、お金の仕事を任せられるのは絶対にイヤだ」と二人とも口をそろえて言った。


友達は現在デスマで話をするヒマもないので、電話だけで起こった事実を告げ、すぐさま辞めると告げた。


今日、朝、友達と少しだけ話せた。
「それは単にその話をきっかけとした単なる逃げではないのか?本当はあまりの攻撃にお前も負けたのか?」と言われた。


逃げでいい。と、思う。
攻撃なんて関係ない、陰口なんてかわいいだけだ。
あからさま洗脳されてしまった夜叉様はここから逃げる事など考える事もないだろう。
恐怖政治で洗脳。
友達はデスマ中で思考停止中。
いやぁブラックの経験、楽しかったです。
大変お勉強になりました。


直属上司に今日伝えた。勿論引き止められた。
給与を考慮して試用期間終了後大幅に上げるから、是非残ってくれと言われた。
魅惑の提示金額。
でも決定はTOPだから試用期間終了時、に決定事項を通達とか。


あらそうですか、と答えたが、あたしは、バックレる。


たとえ友達と縁が切れても、社会的不義理が発生したとしても、あたしはこの会社にいる選択はしない。
いきなり行かなくなる、なんて通常ありえないが、だめなものはだめだ。
殴られ続けてもDVに耐える妻、とかと同じ感覚だ。
殴られてるならすぐさまに逃げればいい。
一目散に逃げるのだ。
ブラックなんだから、すぐさま撤退するのだ。
友達はわかっているけど、TOPがおもしろいから、いる、と言った。
いつでも自分がいやになった時にやめればいいんだから、と。
危険だなぁ〜すでに思考停止の進行に巻き込まれてるのに。
おかしな宗教団体になんとなく連れて行かれちゃった時、社会的通常規範に則って行動なんかしない。
サインが出たら、即バックレればよいのだ。
ずるずるいたら、巻き込まれる。夜叉様、にももう何にも言わない。友達もやばいな、あのままじゃ思考停止で完全に抜けられなくなるよ。


やっぱり、ここにいてはいけないよ、というメッセージを教えてくれた朴訥な彼にありがとうを言おう。


逃げるが勝ち、っていうのはこういうときに使うんだよ。